May
ヲ 〜あんたメタラーだったんか〜

2003.5.18
不敵の父の弟の嫁さんのお母さまが亡くなった。

今日は葬式だった。

親族が一同に集まり、しめやかに式は執り行われた。

不敵の父の弟の嫁さんの妹の子供(兄妹の2人)

も当然ながら出席していた。

この子供は高校3年生と娘とハタチの青年である。

この兄の方は親族の中でも最悪な評判を誇っていた。

『+#学園を中退して、仕事もしないで家でドラムばかり叩いている』

そんな彼の悪評に拍車をかけているものがある。

それは彼の風貌…すなわち、

女性並みに化粧を施した美麗(?)なかんばせ、

肩にかかる程に伸ばした髪は見事な金髪。

アンタ本当に大和男子か。

今回の葬式にもビジュアル系芸能人の出立ちで登場した彼。

(こんなに外見がビジュアル系なのだから、

やってるバンドもビジュアル系に相違あるまいよ)

…と、不敵は勝手にタカをくくっておりました。

さて、精進落しの時間である。

酒や食事が振舞われ、親族同士の談義に花が咲く。

不敵は若い者の中でも一番年寄りなので、

借りてきた猫のように無難に振舞っていた(ツカレルー)

ふと見ると、あのビジュアル系の青年がアタシの前に座ってるじゃない。

で、タバコをパカスカ吸っておる。

このとき、不敵のオタク関知センサーがピコピコと反応した(何故だ)。

『…バンドをやってるって聞きましたけど、どんな音楽性のやってるんですか』

頭の中でよせばイイのにと自分に突っ込みを入れながら不敵は聞いてしまった。

『日本で言うとX-JAPANみたいなものです』

金髪の青年はためらいがちにこう答えた。

X-JAPANなんてアタシよく知らない。

『日本で言うとって…では外国でいうと?』

『ハードロックというか、もっとメタルっぽいモノです』

不敵は驚愕した。

(ままままっ、まさかぁ!?)

思わず不敵はポロリとカミングアウト。

『…実は私エンペラーとかカンニバルとか大好きなんですけど…』

『え、えぇ!?マジっすか!?』

青年の目がパアァッと乙女のように輝く。

不敵はしまった、と後悔した(何故)。

『それって…うっわーそれ先に言って下さいよ!』

一体どういうシュチエーションがあれば

言えるというのだ。

『俺、ブラックならナグルファーとクレイドルが好きなんです!』

しゃべりだしたらもう止まらない、若いパワー。

『…ブラックではエンペラーが一番すき…最近はブルデスに興味が…』

『ナグルファーの新作聞きました?マジ、ヤバイっすよあれは!!』

さながら水を得た魚のようである。

『一応聴きました…確かに1曲目と2曲目は良かったな…

今度ナイルと一緒に来日するからちっとは覚えておかんと』

『えー!来るんですか日本に!本当ですか!うっわー行きてぇー』

相当、日常で抑制されていたものがあるのだろう。

『俺、ディムボガーも好きだけど本当はネオクラのファンなんです』

もうしゃべりたいこと一杯でたまらない感じ。

『印具米先生ですか?もしくはシンフォニーエックス?』

『いや、ストラトヴァリウスです!』

…ティモトルキ先生か…なつかしいな…

まてよ、ということは。

『ひょっとしてシンフォニックもしくはクラシカルなメタルがお好き?』

『ハイ(キッパリ)ゴシックも好きです!不敵さんの好きなゴシックは?』

こんな風にエンドレスでお話が続いてしまったのでした。

しかしそのビジュアル芸能人系でメタラーですかぃ。

この不敵、どーも頭の中で納得イキマセン。

だっていままで地下轟音会場で拝見した方々は、

髪の毛がズラーっと腰迄長く黒々としてて(サダコさんではない)、

おろし金のような無精髭な人が大部分だったんだもん!

それを指摘してみました。

すると、こうおっしゃってましたよ。

『そういうのを目指しているんです。

俺達若い世代の日本のバンドが、将来こういったスタイルを

この世界で確立していければいい、と思っているんですよね』

ふーん。

それって、

清潔感溢れるビジュアル芸能人系のメンバー達が

爽やかにステージでヘヴィメタルするって世相になる事が

俺達の夢だって事デスか?

よく判らんけど、あたしゃコメントしかねたね。

とりあえずブラックやブルデスでそーゆぅのは嫌よね???

でもな、何であれ志を持つ事は確かに崇高だよな。

でもバンド活動の金くらい自分で稼げってばよ。

事実は小説より奇なり。

漫画より滑稽なり。

まさにその通りの出来事であった。

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