ヲ
〜不敵、絶句する〜
一人暮らしの戦場にかーちゃんがやってきた。
会社から帰宅してふと見ると、
かーちゃんがダンボールの山と果敢に戦っていた。
ダンボールの山は更に酷い事になっていた。
なんだかかーちゃんの様子はヘンだった。
『…何かいいたい事あるならいってくれ、気持ち悪いじゃないか』
不敵のうながしに、ものすごーくいい辛そうに、かーちゃんが言った。
『Kさんから昨夜電話があって、お父さんが電話を取ったんだけど』
あぁ、なんてモッタイぶった前置きなんでしょう。
すごくイヤな予感増大警報発令中!
そしてかーちゃんは言ったのだった。
『アンタにKさんの息子さんと
結婚を前提におつき合いしてくださいって』
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『…(絶句)…』
あまりのムチャクチャな展開に不敵は返す言葉も見つかりませんでした。
笑いを通り越して呆然。
--Kさんとは--
不敵の今住んでるマンションの前の所有者、そう、あの空手おじさんです。
あーっと。
慣れない生活に必死でそんな事考えとる余裕なんか無いってば。
…でもまぁ、
向こうは悪気があって言ってる訳じゃ無いんだろうし、
こりゃあ何の未練も無いように、
スッパリ+キッチリ断らなきゃな〜
それが礼儀だろ!
というわけで、電話する事にしました。
『お申し出、大変嬉しいのですが…わたくし、
結婚を前提におつき合いさせて頂いている方が
いるのでお受け出来ません』
もちろん大嘘です(滝汗)。
『そうでしたか…がんばってください』
おじさんは快く引き下がってくれました。
おじさん、ごめんなさい。
ヒィイイ〜〜〜(脱兎)!
てゆーかあんなウソ、ウソでもつきたくねぇもんだな。
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