September
ヲ 〜もたない!?〜

2002.10.11

いつも通りの出社でいつも通りの仕事始め。

社長の息子は今年3月頃に営業としてやってきて、

一生懸命がんばってる。

その息子が『皆さん5分間だけいいですか』と、

会社のメンバーを集めたのは、

多分アタシが机に着いて10分もたたない頃だったと思う。

『前から父…いや社長が、

体調を崩していて入退院を繰り返していたのですが』

私のどこかでポツンと嫌な予感が芽生えた。

『今週もたない…ということで』

……

はぁ!?

『は!?』

私はとっさに後ろの奥さんを見た。

無言。表情が疲れきっている。

社長ってば糖尿病だとは聞いてたけど…。

退院したって聞いてたから…リハビリ中かとばかり思ってた。

寝耳に水。

晴天の霹靂。

もう一気に仕事どころじゃなくなった。

奥さんには

『それなら早く病院に。少しでも長く一緒にいてください』

こんな事しか言えなかった。他に何が言えようか?

奥さんはすぐに病院に向かった。

息子は…今日は大事なお客さんが来社する事になってて

どうしてもいけなかった。

仕事、何をしていたのかよく覚えて無い。

思えば、私が前のホモ小説編集部を転がり出てきた時に

すぐに拾ってくれた社長だった。

私がライヴにコミケに楽しむときも楽しそうに話を聞いていたし、

連休前などには臨時収入もくれたこともあった。

(それを新刊の印刷代にあてたこともあったなぁ…ホロリ…)

すごく食いしん坊で不敵が冷蔵庫に保管していた

クランベリージュースを1瓶飲んでしまう等オチャメな所もあった。

今年に入ってから物忘れが酷くなって具合が悪そうだったけど、

私には…本当に親切に接してくれていた。

そんな回想ばっかりしている内に終業時刻になっていた。

お茶の水の杏雲病院なので近いから行こうと思ったけど、

既に地方から親族が集結しているとのことで断念した。

私には何も出来ないのだろうか?

家で神妙にしていると、夜11時頃、携帯電話に電話がかかってきた。

息子からで…「9時45分に逝きましたので」との事だった。

今週もたなかったんだな。

後ろからすすり泣きが聞こえる。

たまらない。

今週末は家から一歩も動けないっぽいな、と考えるのが精一杯だった。

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