もう明け方のハズなのに、
左となりの部屋から朗々とした素敵な歌声が聞こえます(蒼白)。
ARCTURUSのボーカルおじさんに間違いありません。
おまけにベットから飛び降りたり高らかにジャンプする物音まで…
まるでオペラでもやってるノリです。
ライヴ直後だというのになんて体力だ。
もしかしておまえら睡眠しないのか。
『バカーッ!あたしは少しでもグッスリ眠りたいのに!』
思わずひっそりと毒づいてしまいましたが。
いつのまにか夢の世界に旅立っていました…
イタリアの田舎の朝はやっぱり快晴でした。
11時頃にパカッと目が開いた不敵は寝不足なアタマのまま起きだし、
南京錠グルグルを外して扉を開けると、様子をうかがってみました。
回りはしんと静まり返っている様子です。
(あれー?アーティストの人達はまだ寝てるのかな)
一個下の階をうかがうと、手摺ンとこにライヴ会場でアーティスト達に
配られていたミネラルウォーターのボトルが置かれていました。
(昨日はシアワセな一夜だったな…)
昨夜の轟音を思い出しながらボケっと頬杖をついて外を眺めていると、
ポクポクと馬車がやってきたりするのでした。
イタリアの日射しは明るい。
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ふてきが怒涛のようにパッキングに勤しんでいると、
外の廊下からホテル従業員のおねえさんの鼻歌が聞こえてきました…。
どうも掃除の真っ最中のようです。あんな楽しそうに仕事できて羨ましいなぁ。
ほどなくして、Vittorioが迎えに来たのでした。
3日目のフリータイムについてVittorioは、
『地中海を見に行きませんか?ここから車で一時間ちょっとで行けますよ』
とロマンチックで?素晴らしいリクエストをしてくれたのですが、
アホな不敵はミラノのドゥオモを見たいと断ってしまいました。
『ミラノに行くなら 絶 対 ドゥオモヘ行け。すげーぞ。絶対驚くぞ』
と、欧州専門のツアコン友人に入れ知恵をされていたが故、です。
というわけでホテルのおばさまに御礼を言って、
代金をカードで支払ってVittorioの車にお邪魔させていただきました。
車中では女の特種能力、おしゃべりの炸裂です。
『アーティストの人達はまだ寝てるの?』
『いえ、彼らは朝の7時に次のライヴへと旅立ちました』
そらぁ、さぞかし飛行機の中で爆睡だろうな。
車はブラックメタルをBGMに田舎道をクネクネ走ります。
回りは水田だらけです。
イタリアの水田は整然とした日本のソレと違ってホーキのようにボサボサな感じ。
『イタリアでも米は重要な色材ですからね』
『あー、わかるわかる!リゾットなんか日本じゃよく食べるよ!』
そんな中、彼は2枚のCDを差し出してこう言うのでした。
『This is a greatest black metal album!』
それはロシアの『ミョルニル』というバンドのアルバムと…忘れもしない
フィンランドのClandestine
Blaze『Fist of the Noethern Destroyer』でした。
前者は初期EMPEROR風味が軽い味付けのブリザードブラックで、
後者はネクラで後ろ向きなぽこぽこドラムとジヴジウなギターが低音で
のたうち回る、アンダーで激ロウなプリミティヴブラックでした。
根暗すきにオススメ!
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コレが実に素晴らしい!
ふてきはすっかり気に入ってしまいました。
というわけで、以後このアルバムがBGMになってしまうのでした…
『私は1349のライヴの時、キョウコはどこにいるのだろうか?と
ステージの後ろから探してましたよ!』
(ぎくんぽ!)
『あなたは一番前にいましたね!あなたを見つけた瞬間
私は『キョウコ…!?』と、驚愕しましたよ!!』
愉快そうな彼の言葉にわたしはただただ、羞恥に項垂れるばかりでした…
車は田舎道を抜けてアウトバーンに乗りました。
40分程走るとミラノに到着です。
車はアウトバーンに直結しているらしき立体駐車場に止められました。
彼はクルクル登る坂がすげぇ苦手らしくて、めちゃくちゃ恐かったよ!
『ドゥオモの他に行きたい場所はありますか?』
『Vittorioが常用しているCD屋に行きたい!』
自分で言うのもなんだかな〜…外国行って迄ソレかよって感じですね。
『残念ですが、休日は閉店しているのですよ』
そういえばドイツ行った時もそーだった。
そんな会話をしながら立体駐車場に直結している地下鉄の駅へ。
ミラノの地下鉄路線図。
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ココでの切符の買い方は不思議な事に、
日本で言う『キヨスクみたいな所』で新聞買うみたいにして購入します。
なんか、日本で生活している人間にはデカイくてペラペラだなーという、
持ち運びに邪魔っぽい切符なのです。↓こんなんでありますが。
レッドハーベストなTシャツ。
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それで、電車がホームにやってくると、
それは思わず掃除をしたくなってくるよーな
泥をひっかぶったよーな、小ギタナイ銀色の車両なのでした。
『ナニコレー!東京の地下鉄はもっとキレイだー!』
『うそでしょう』
という訳で電車に乗り込み、ドゥオモ駅を目指します。
こーやって行きます。
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一回乗り換えをして、何の問題も無くドゥオモ駅に到着。
『きっと日本人がたくさんいるはずだよ』
割と広めの階段をドキドキしながら上がっていくと、
ハトがお出迎えの広場に出るのでした。
すぐ目の前にドゥオモらしき巨大な建物がデデンとかまえていて…
その建物は改修工事の真っ最中らしく、白い幕が周囲をグルリと囲んでいて
外観が全く見えねぇんだよッ(怒)てな状態でした…あぁ不運。
カンコー客がそこら中にいて…でも日本人の姿が見当たらない。
(なんでだろ?時間帯が合わないのかなぁ?)
ふてきは日本人の姿が恋しくてたまらない自分に気が付くのでした。
それにしても灼熱地獄。
なんか、
周囲が石の文化になので照り返しがキツく心無しか空気も悪いような…
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