イタリア短期滞在

〜ブラックメタル祭典への記録〜

『このロゴはどのように

読むのでしょうか?』

不敵の問いに

スキンヘッドのメタル男は、

ちょっと困った表情

になった。

旅行2日目

-気が付けば絶叫-

一晩中、どこかで犬が吠えていた。

(…うるちゃいなぁ、もぉ)

ずーっとそんなコト思いながら、寝ていた。

ふっと、覚醒した。

携帯電話を見ると朝の8時。

なんだかものすごぉーく、明るい。

不敵はEMPERORのXLなTシャツのまんまモソモソと起き出した。

南京錠と鎖でグルグル巻のそれを外し、微妙な音と共に扉を開けると、

そこには広大な田舎の風景が見事に広がっているのだった。

ガソリンスタンドですから。

↑の右端に線路が見えると思います。

このホテルの正面には国鉄が通ってて、グリーンのラインが入った電車が

ずばぁーっとかっ飛ばしていくのが良く見えるのでありました。

不敵は日本から持ってきた『北海道の水2リットル』をラッパ飲みしつつ、

この牧歌的で静かな光景にリラクゼーションを感じてました。

テラスはずぇんぶ繋がってるの。

で、↑の写真に黒いブーツらしきモノが写っているのが判ります?

(なンかやけにメタルなブーツだナー)

と思ってたら。

何の前触れも無くイキナリ扉が開いて、

昨夜のツルッパゲのメタル野郎が2人、楽しそうに出て来ました。

上半身裸でムキムキで朝っぱらからムサックルシイったらないです。

不敵は忍者になったつもりでコッソリ部屋へ引っ込みました。

昨日一晩で散らかしまくった己の荷物をキチンとまとめ、

お昼の1時過ぎ。

不敵はそろそろ迎えが来る時刻と思いたち、

階下へ降りて行くのでした。

階下にはスキンヘッド3人部隊と長髪メタル野郎が

ヴィットリオ弟と食事をしておられました。

何やら打ち合わせも真剣にやっていらっしゃるようです。

挨拶を済ませて、不敵は入り口脇のテーブルにつきました。

そこには大量のイタリア雑誌が積まれています。

印刷技術につい興味のわく不敵はそれらを手に取ってツマミ読み。

でもイタリア語じゃナニ書いてあるんだか全然ワカンナイわぁ。

しばらくすると、スキンヘッド部隊の一名が

不敵のそばで店員と談笑しているのに気が付きました。

彼の着用するTシャツのバンド名がずぇんずぇん読めない不敵は、

『このロゴはどのように読むのでしょうか』

ナンチャッテ英語で聞いてみました。

するとスキンヘッドムキムキメタル野郎は、

ちょっと困った表情でボソボソッと答えてくれたのでした。

アタシってばこれ、実は

モノスゴク失礼な事

カマシてたんです!

シカモ

これですら十分シツレイなのに、

不敵はナチュラルにトドメを刺してしまったんです。

『うー、わたし聞いた事無いバンドだわ』

不敵はその時のスキンヘッドのお兄さんの、

ガックリした表情を今でも忘れる事が出来ません。

そう、彼は思いっきり

そのTシャツのバンドのメンバー

だったんですねぇ!

ワタシがその事に気付くのは数時間後だったんですケドォ。

不敵は信じて疑っていなかったんです…

このスキンヘッド&長髪メタル野郎はヴィットリオと同じ、

プロモーターの一員なんだろうと。

あぁあぁぁ…ゴメンナサヒ…(泣崩)!!!

時計の針が1時30分を回った頃。

ヴィットリオ弟&スキンヘッド一団は先にライヴ会場に行くようで、

荷物をゴソゴソまとめ始めした。

カッコイイギターなど、ゾロゾロ車に詰め込んでゆきます。

(プロモーターさんは大変だなぁ)

…と、不敵は大いなる誤解を抱いたまま、

『気を付けて、いってらっしゃぁあ〜いぃ

などと手をヒラヒラさせつつ、日本語で丁寧に見送るのでした。

彼らは爽やかな笑顔と共にハイウェイに消えて行くのでした。

ヴィットリオを待っている間、

不敵は外のカフェテラスでエスプレッソを注文しました。

モノスゴク美味しかったです。

さすがイタリアです…サイコーです♪

(はぁ、日本のセコセコした生活のストレスが一気に癒されてゆくわ…)

気が付くと、となりのカフェテーブルに歳の頃50後半〜60位の、

人の良さそうなイタリアおじさんが座っていました。

不敵と同じくエスプレッソを片手に、新聞を読んでおられます。

このおじさまとほんの少し、談笑していると。

目の前に巨大なバスが現れました。

運命の訪れでした。

ホテルの前で止まったバスから降りてきたのは…

まずヴィットリオでした。

続いてゾロゾロと人間が降りてきたのですが。

その錚々たる面々を見た瞬間、

不敵は手に持ったエスプレッソの存在も

隣で穏やかに微笑んでおられるであろうオジサマの存在も

イスカンダルの彼方に

一気にフェードアウト。

そして、

気が付けば絶叫していました。

『きぃゃぁ、ああ、

あああああっ…!!!!』

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